タイ保健省食品医薬品検査所は、6月15日から輸入通関時の青果物の残留農薬検査を強化するガイドラインを発表した(日本語仮訳は添付資料参照)。同省は1月24日に残留農薬検査を強化する方針通知を示した(2020年2月6日記事参照)が、6月15日から本格運用を開始するとみられる。
ガイドラインによると、輸入青果物は「非常に高リスク」「高リスク」「低リスク」に分類される(添付資料の図参照)。「非常に高リスク」は、過去に法令違反が確認された輸入青果物情報を基に保健省が作成したリストの商品を指す。ジェトロが5月26日に食品医薬品局(FDA)の担当官に確認したところ、リストにある青果物でも、輸出者・販売者がリストに掲載されている者と異なる場合は該当しないという。「非常に高リスク」に該当する商品は、残留農薬検査で基準値に従っていることを当局が確認するまで、通関手続きを行えなかったり、保管所で留め置かれたりすることとなる。
「高リスク」はホウレンソウ、ミカン、イチゴ、ブドウなど10品目の青果物が該当する。従来ランダムで抽出されていたサンプルが輸入のたびに一定割合で抽出され、分析機関に送られることとなる。「低リスク」は上記2分類に該当しない商品で、簡易検査キットによる残留農薬検査が実施される。担当官によると、「非常に高リスク」商品と異なり、「高リスク」と「低リスク」商品は、検査結果が出る前に通関手続きを行い、販売することは可能だ。
タイ政府による上記の残留農薬検査以外の方法で輸入を希望する場合は、指定の134成分についての分析結果証明書(COA)を提示することで通関手続きを行うことができる。
また、ガイドラインでは、保健省告示第386号の対象となる青果物について、従来の衛生証明書の提出に加え(2019年9月6日記事参照)、生産者名や生産者所在地、生産国、製品名のラベルへの記載を新たに求めている。
担当官によると、背景には、市民団体のタイ農薬警告ネットワーク(THAI-PAN)が青果物の残留農薬を検査した結果、4割以上が国内の基準を超えていたことや、保健相が2020年を「食品安全の年」と発表していることなどがあるという。
パラコートやクロルピリホスなどの農薬の使用禁止(2020年5月22日記事参照)に加え、輸入通関時の検査が強化される見込みだが、ガイドラインの記載には不明確な点も多く、準備期間も短いことや、通関に要する時間・費用の増加、食品ロスの発生などに対する懸念が寄せられている。
(福田かおる、ウォンパタラクン・ヤーダー)
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May 27, 2020 at 11:41AM
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6月15日から青果物輸入の農薬検査を強化(タイ) | ビジネス短信 - ジェトロ(日本貿易振興機構)
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