10日に92歳で亡くなった歌人の岡井隆さんの人生は、戦後短歌の歴史そのものだった。(宮川まどか、三品信)
リアリズムに基づく青春歌の時代。塚本邦雄、寺山修司の両氏(いずれも故人)とともに前衛短歌運動を引っ張った時代。洗練された格調高い歌を生み出した成熟期。口語的な軽い文体や言葉遊びを積極的に取り入れた時代…。
作風の変遷は、戦後短歌のあゆみとそっくり重なる。時代の雰囲気を敏感に察知するアンテナを持つ歌人だったといえるだろう。
その感覚の鋭さは、話をするたび、言葉の端々ににじんだ。「ぼんやりしてたら歌なんてできっこない」「偶然のチャンスをいかにつかむかが大事」。顔には柔らかい笑みを浮かべながらも、口調には厳しさがあふれていた。
歳月はさぶしき乳(ちち)を頒(わか)てども復(ま)た春は来ぬ花をかかげて
岡井さんの代表歌の一首だ。歌作中断を挟み、1978年に発表した「歳月の贈物(おくりもの)」に収録された。歳月は流れたが、また春が来て桜が咲いている―。そんな何げない風景に、歌人として再び花を咲かせようという覚悟を重ねているようにも思える。
「無から何かを生み出す創作は、リスキーな仕事です」。80歳の時、記者に語った言葉だ。「だからこそ、これからは創作に没頭する時間を増やし、いいものをつくっていきたい」
2016年、文化功労者に選ばれた折の取材で強調したのが、自分に続く後進への期待。「岡井さんみたいな人がいるんだと目標に定めてもらえたらうれしく思います」
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時代の雰囲気敏感に捉え作風は変遷 最期まで歌人貫く 岡井隆さん死去 - 東京新聞
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