有料道路が無料化されてから交通事故が増えているとして、秋の全国交通安全運動にあわせて神戸市で取締りのための出発式が行われました。
事故が増えているのは、須磨区と兵庫区を結ぶ神戸市道の「夢野白川線」で、２３日の出発式には警察官や道路を管理する市の職員などおよそ５０人が参加しました。
取締りを強化する「夢野白川線」は、２００８年まで有料だった全長およそ７キロの道路で、区間内の信号機は入り口と出口を除き１か所しかなく、交差点が少ないほぼ一本道です。
警察によりますと、無料化による交通量の増加で人身事故もおよそ１.５倍に増え、スピードを出しすぎた車による追突や対向車との接触事故が相次いでいるということです。
今月末までの秋の全国交通安全運動にあわせてスピード違反の取締りを強化するほか、事故につながりやすいタイヤのすり減りや空気圧不足がないよう適切な整備を呼びかけることにしています。
須磨警察署の大籔靖之交通課長は、「ドライバーにはまずはスピードを抑えてゆっくり走っていただきたい。タイヤは溝の深さによってスリップしやすいので運転前にしっかり確認してほしい」と話しています。
【市道「夢野白川線」とは】
「夢野白川線」は、神戸市の兵庫区菊水町から須磨区の白川台までのおよそ７キロの市道です。
１９６９年に「西神戸有料道路」として開通し、北区や西区の住民の市街地への通勤などに利用され、建設や大規模改修にかかった費用などの返済が終わり、２００８年１０月に通行料金が無料となりました。
道路を管理する神戸市によりますと、国道２号線のう回路として朝夕を中心に交通量が多くなるということです。
午前７時からの１２時間に通行した車両は、有料道路だった２００５年にはおよそ２万９０００台でしたが、無料化後の２０１０年にはおよそ３万６０００台でした。
直近の２０１５年にはおよそ３万１０００台となっていて、無料化により１割から２割程度、交通量が増えています。
【警察や神戸市の対策は・・】
交通事故を防ぐため警察と神戸市では、事故が多発する場所に看板を設置して、ドライバーに速度を守るよう呼びかけています。
警察は、スリップしにくい舗装や、センターラインにゴムポールを置くのではなく、ガードレールや中央分離帯を設置してほしいと要望していますが、市は対策の検討を始めたばかりですぐには難しいとしています。
このため、警察はスピード違反の取締りを行うとともに、タイヤのすり減りや空気圧の低下がスリップを起こしやすく重大事故につながるとして、きちんと整備するよう呼びかけています。
神戸市西部建設事務所の小松恵一所長は「事故が多発する場所が分かっているので、警察と連携して対策にあたりたい。ガードレールや防護柵のほか、車を誘導する標識や取締りのための待避スペースも順次、設置していきたい」と話しています。
【どんな事故が多い】
警察によりますと、「夢野白川線」が無料化される前と後のそれぞれ１０年間を比較すると人身事故はおよそ１.５倍に増えています。
無料化される前の１９９９年から２００８年までに起きた人身事故は６０５件で、亡くなった人は８人、けがをした人は７９８人でした。
それが無料化された後の２００９年からおととしまでだと、人身事故は９１１件で、亡くなった人は１０人、けがをした人は１２５３人でした。
警察が先月末までの１０年間の人身事故を分析したところ、死亡や重傷の重大事故が発生した場所や原因に特徴があることが分かりました。
重大事故が起きている場所は３か所あり、このうちの２か所は坂とカーブが連続する場所で、下りでスピードを出した車がスリップしたり、曲がりきれなかったりして対向車や側壁にぶつかる事故が発生しています。
また、残りの１か所は兵庫区の出口付近で、長い下り坂の先に信号機が設置されているため、信号待ちで止まっていた車に追突する事故が相次いでいます。
この市道は六甲山のふもとを東西に横切るよう造られていて、坂やカーブが連続する区間があり自動車専用道路だったことから、信号機や交差点が少ないほぼ一本道で、歩道もほとんど設置されていないため、歩行者や自転車も少ないということです。
警察ではこうした“旧有料道路”ならではの事情が重なってドライバーが速度を出す傾向にあり、無料化による交通量の増加もあって事故が増えているのではないかと分析しています。
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September 24, 2020 at 09:43AM
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