公開日:2020.12.28
東京工業大学の学生が「成長の場の提供」を目的にイベントを開催しているリプロ(旧:理工系学生能力発見開発プロジェクト)が10月28日、学生と教職員を対象に特別講義をオンラインで開催しました。本学保健管理センターの齋藤憲司教授が「コロナ禍でこころが縮こまっていませんか~臨床心理学でひも解いてみよう~」のテーマで話し、質問に答えました。70名が参加し、コロナ禍の終わりが見えないなかで、ストレスとどう向き合っていけばいいのか、というテーマに多くの人々が関心を持っていることがうかがえました。リプロは学生支援センター自律支援部門からの支援を受け活動しており、今回は14回目の特別講義でした。
特別講義で、齋藤教授は臨床心理学の知見をもとに、心理カウンセラーの立場から現状認識について触れたうえで、コロナ禍で生じている心理的な問題を解説しました。臨床心理学による解きほぐしとして、日常/非日常と青年期の発達課題、授業の受け方とコツ、環境や気分の切り替え方、ストレスへの対処方法、アクティブ・ヒーリングの勧めなどについて話しました。最後に「この時代を生きるからこその学びと育ちがあるはず」との言葉を投げかけました。
開催に先立ち、齋藤教授とリプロメンバーとの間で事前打ち合わせを行い、その際に出たメンバーからの質問についても、講演のなかでわかりやすく解説しました。例えば、「なぜコロナ禍でストレスが溜まりやすいのか」の質問について、齋藤教授は臨床心理学からの専門的な説明に加え、参加者が理解しやすいように有名なアニメの登場人物の状況に例えながら、参加者がイメージしやすいように話しました。質疑応答の時間でも質問に対して、丁寧に答えました。
参加者アンケートには、以下のようなコメントが寄せられました。
- コロナ禍で生活習慣が乱れたり、うまく課題をこなしていけない自分に嫌悪感がありましたが、先生のお話を聞いて、少し自分にも優しくなれるような気がします。貴重なお話ありがとうございました。
- コロナによって今までの日常が失われた中でストレスが溜まりやすくなり、また就活に対する漠然とした不安感が募り、体調が良くなかったり眠りにくいという日々が続いていました。今回の特別講義によって、もう少し楽に考えていいんだ、抱え込み過ぎなくていいんだと、考え方を少し変えることができました。
- コロナの影響で自宅にこもりがちで周りの人との交流が極端に少ない。そういう状況ではどうしても自分の考えや自分を見る視点が固まりがち。今回そういう固まったものを少しほぐしてもらったように感じた。
- 齋藤先生の優しい語り口に、コロナ禍で疲れていた心が癒される思いがしました。自分は外からの刺激に敏感な方で、ときどきそのせいで疲れてしまうことがあるのですが、今までそのことを他の人に伝えても理解されないことの方が圧倒的に多くつらかったです。ですが今日、齋藤先生に理解していただいたような気持ちがして、それだけですごく救われ、涙が出ました。ありがとうございました。
- 学生と齋藤先生の間で十分に練られた内容で、とても良かったです。
特別講義の司会を務めた秋澤優希さん(工学院システム制御系学士課程3年)のコメント
今回の特別講義は、コロナ禍で学業生活やコミュニケーションに制限がかかっている東工大生の助けに少しでもなれば、と企画しました。
自分は今どのような環境に置かれているのか、今まで経験した事がない環境の中で自分はどうしていけば良いのか、を知ることで今後について見通しを持って考えることが出来ると思います。
リプロは「成長の場の提供」をテーマに活動を行っていますが、この講義が学生にとって自身を考えるきっかけや知識の足がかりとなり、成長の礎になれば幸いです。
リプロ(旧:理工系学生能力発見開発プロジェクト)とは?
学生支援センター自律支援部門のもとで活動する、主に本学学士課程の学生を対象としたプロジェクトです。本プロジェクトでは「成長の場の提供」を目的に、中高生や本学学生教職員、そして地域の方々の視野を広げたり物事への理解を深めたりできるようなイベントを企画運営しています。現在メンバーが取り組んでいるのは、特別講義の開催、シンポジウムの開催、特別企画の開催、国内学会の見学―の4つが中心です。
2020年度はコロナ禍のため活動が制限されていますが、夏には特別企画として田園調布学園中等部の生徒達の「課題研究」をオンラインで手伝いました。
リプロでは、これらの活動全てを学生主体で行うことにより、創造性、リーダーシップをはじめ、企画力、交渉力、コミュニケーション力といった参加学生の総合的な人間力を養っています。
からの記事と詳細 ( 臨床心理学で解説「コロナ禍でこころが縮こまっていませんか」 リプロ特別講義 - 東京工業大学 )
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