防衛省は、太平洋の小笠原諸島(東京都)周辺空域からの領空侵犯を監視するため、移動式レーダーを備えた航空自衛隊の移動警戒隊を同諸島に展開する方針を固めた。中国が空母の太平洋進出を繰り返していることを受け、同省は「防空監視の空白域」(幹部)とされてきた太平洋の島しょ部での監視態勢構築を急いでいる。
展開先は、父島などが候補地に挙がっている。当面は交代で10人程度が常駐し、領空侵犯などの警戒監視を行う。来春以降、地元との調整などを本格化させる。将来的には固定式レーダーを設置し、監視態勢を強化することも想定している。自衛隊は全国28か所のレーダーサイトなどで日本列島の周辺空域を監視している。移動警戒隊は車載型のレーダーを使い、レーダーサイトが機能しない場合に補完することなどが任務だ。
中国軍の太平洋進出の活発化を受け、太平洋の「入り口」となる南西諸島では、2016年に沖縄県の与那国島に陸自沿岸監視隊を発足させるなど、監視網を強化してきた。
一方、小笠原諸島をはじめとする太平洋の日本の島々には自衛隊の防空レーダーがなく、常時監視できる体制にはなっていない。
統合幕僚監部によると、中国海軍の空母「遼寧」は2016年12月以来、計7回、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通過して太平洋に展開した。20、21年は2回ずつ確認され、頻度を増した。政府は、中国が対米防衛ラインの一つである「第2列島線」に位置づける小笠原諸島やグアムを結ぶ線付近まで、空母などの活動範囲を広げてくるとみている。
遼寧は就役以来、艦載機の訓練も重ねており、今年4月には宮古島周辺で早期警戒ヘリコプターを発艦させたことが確認されている。中国軍機による宮古海峡上空の通過も増加しており、13年7月に初めて通過が公表されて以来、計61回に上る。
太平洋の空域は広大なため、中国軍が空母などの展開をさらに活発化すれば、航空機による領空侵犯の脅威が増す。政府は「有事の際に空母艦載機から首都圏を守るには、小笠原周辺空域で早期に捕捉する体制の構築が急務だ」(空自幹部)としている。
からの記事と詳細 ( 小笠原に空自警戒隊、中国空母に対抗…防空監視強化へ - 読売新聞 )
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