アジア市場に既視感が広がっている。3月のようにドル相場が回復し、債券利回り動向や中国経済の弱さに対する懸念が株価の重しになりそうな状況だが、今のアジア市場にははるかに大きな回復力があると投資家は考えているようだ。
アジア株の割安感が一段と強まっていることと、アジアで新型コロナウイルスの新規感染が減っていことが、米連邦準備制度が タカ派傾斜している悪影響を上回っており、債券利回りの低下もプラス材料だ。米10年国債利回りは3月の1.7%超から1.44%に低下している。
MSCIアジア太平洋指数は3月に1.5%下げ、世界株の指標に大きく出遅れたが、こうした状況が繰り返される公算は小さいことが示唆されている。
「インフレと引き締め懸念で今年先に下落していたテクノロジーや生活必需品、ヘルスケアといった利回りに敏感な銘柄群は、今年初めに株価を主導していたセクターの成績を上回り始める可能性がある」と指摘するのはニューヨークの資金運用会社グレート・ヒル・キャピタルのトーマス・ヘイズ会長だ。先週の米連邦公開市場委員会( FOMC)後、同社はアリババグループをはじめ中国テクノロジー銘柄への資金配分を引き上げた。最近売り込まれたこうした銘柄に割安感があるとみている。
ブルームバーグの集計データによれば、MSCIアジア太平洋指数の予想株価収益率(PER、今後12カ月)は15.8倍。米S&P500種株価指数のPERとの比較では5年平均を下回っている。21年に入ってからは平均で5ポイント低い。
これに対し13年はアジア株のPERは米国株に対し1.5ポイント低いだけだった。同年は当時のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会証言で緩和政策縮小を示唆し、「テーパータントラム」と呼ばれる金融市場の混乱で新興国市場から資金が流出。この時は1カ月でMSCIアジア太平洋指数が約11%下げた。
BNPパリバ・アセット・マネジメントのアジア株責任者ジカイ・チェン氏は「バリュエーションギャップを踏まえると、今回はアジア株の回復力がより大きいと予想している」と述べる。
投資家はFOMCのテーパリングに対する比較的マイルドな文言とアジアの対外バランス改善に着目しており、13年のような資金流出が繰り返されるとの見方はほとんどない。
原題: March Headwinds Return for Asia Stocks, With a Twist(抜粋)
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