ルイス・ハミルトンが言うように、今季2基目のホンダ製ICE(内燃エンジン)を搭載したレッドブルは本当にポール・リカールのストレート区間で速かったのだろうか?
6月19日のF1フランスGP予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が後続のハミルトンに0.258秒という大差を付けてポールポジションを獲得した。
2018年のF1カレンダー復帰以来、ポールリカールでポールポジションと優勝を独り占めしてきたハミルトンは「信じられない速さだった。フレッシュなエンジンを手にした彼らはストレートで速い」「今日は彼らがストレートで勝っていた部分が大きいと思う」とライバルを評した。
エンジン全開率65%のポールリカールではフィニッシュラインの他に、以下の3箇所でトップスピードが記録される。
- 中間地点1:ターン5の50m奥
- 中間地点2:ターン10の370m手前
- スピードトラップ:ターン8の165m手前
ハミルトンが言う”ストレート”は第2セクターのミストラル・ストレートの事だ。メルセデスのトラックサイド・エンジニアリング部門を率いるアンドリュー・ショブリンはW12が抱えていた課題について「ターン9~11にかけてのストレートでタイムをロスしていた事」と説明している。
以下、フェルスタッペンとハミルトンに注目してセクター別ベストタイムとスピードトラップ及び中間地点2での最高速を駆け足で振り返ってみる。なお以降の表では判別しやすいようにフェルスタッペンのデータのみを赤地とした。
また参考までに中間地点1とフィニッシュラインのトップスピードデータも載せておく。
セクター別ベストタイム
セクター別のベストタイムを見てみると、セクター1はハミルトン、セクター2・3はフェルスタッペンが最速を刻んでおり、フェルスタッペンは28秒区間のセクター2だけで0.128秒を積み上げている。確かにセクター2でのゲインは大きい。
余談だが、ミッドフィールド最速を刻んだカルロス・サインツ(フェラーリ)のセクター2ベストが12番手というのは興味深い。後に見るようにトップスピードも伸びておらず、ダウンフォースを多めに設定しているのかもしれない。
Pos | Sector 1 | Sector 2 | Sector 3 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
Driver | Time | Driver | Time | Driver | Time | |
1 | 22.374 | 27.388 | 40.197 | |||
2 | 22.405 | 27.516 | 40.358 | |||
3 | 22.407 | 27.527 | 40.428 | |||
4 | 22.42 | 27.597 | 40.442 | |||
5 | 22.427 | 27.701 | 40.583 | |||
6 | 22.487 | 27.711 | 40.591 | |||
7 | 22.516 | 27.72 | 40.598 | |||
8 | 22.578 | 27.728 | 40.777 | |||
9 | 22.615 | 27.747 | 40.778 | |||
10 | 22.798 | 27.772 | 40.957 | |||
11 | 22.836 | 27.775 | 41.035 | |||
12 | 22.846 | 27.815 | 41.086 | |||
13 | 22.967 | 27.826 | 41.089 | |||
14 | 23.02 | 27.868 | 41.098 | |||
15 | 23.074 | 27.871 | 41.153 | |||
16 | 23.198 | 27.888 | 41.576 | |||
17 | 23.224 | 27.889 | 41.733 | |||
18 | 23.275 | 28.072 | 41.751 | |||
19 | 23.464 | 28.182 | 41.752 |
スピードトラップ
ミストラル・ストレート中間地点に設けられたシケイン手前でのスピードトラップでは、フェルスタッペンが時速328.7kmでトップ、対してハミルトンは326.6kmで9番手に留まった。各々の相方を見ても、セルジオ・ペレスが4番手であるのに対して、バルテリ・ボッタスは10番手と同じ傾向を示した。
Pos | Driver | Team | km/h |
---|---|---|---|
1 | フェルスタッペン | レッドブル | 328.7 |
2 | アロンソ | アルピーヌ | 328.1 |
3 | オコン | アルピーヌ | 327.7 |
4 | ペレス | レッドブル | 327.7 |
5 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 327.2 |
6 | ガスリー | アルファタウリ | 327.1 |
7 | ラッセル | ウィリアムズ | 326.8 |
8 | シューマッハ | ハース | 326.6 |
9 | ハミルトン | メルセデス | 326.6 |
10 | ボッタス | メルセデス | 326.4 |
11 | サインツ | フェラーリ | 325.4 |
12 | リカルド | マクラーレン | 325.1 |
13 | ノリス | マクラーレン | 324.3 |
14 | ルクレール | フェラーリ | 324 |
15 | ベッテル | アストンマーチン | 323.8 |
16 | マゼピン | ハース | 323.4 |
17 | ラティフィ | ウィリアムズ | 322 |
18 | ライコネン | アルファロメオ | 322 |
19 | ストロール | アストンマーチン | 320.6 |
20 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 225.7 |
ストレート区間での速度が勝っていた理由についてレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、パッケージをローダウンフォース寄りにしてドラッグ(空気抵抗)を削ったためだと説明している。
にも関わらず、ダウンフォースが求められるセクター3でも全体ベストを記録しているのだから、メルセデスが手に負えないと感じるのも無理はない。
中間地点2
ミストラル・ストレートのシケイン後の地点でもフェルスタッペンが最高速を刻み、これにペレスが続いた。
Pos | Driver | Team | km/h |
---|---|---|---|
1 | フェルスタッペン | レッドブル | 285.4 |
2 | ペレス | レッドブル | 285.4 |
3 | ラッセル | ウィリアムズ | 283.7 |
4 | ラティフィ | ウィリアムズ | 283.3 |
5 | ガスリー | アルファタウリ | 283 |
6 | ハミルトン | メルセデス | 283 |
7 | ボッタス | メルセデス | 282.8 |
8 | リカルド | マクラーレン | 282.7 |
9 | ノリス | マクラーレン | 282.3 |
10 | ストロール | アストンマーチン | 282.1 |
11 | ベッテル | アストンマーチン | 281.6 |
12 | サインツ | フェラーリ | 281.4 |
13 | マゼピン | ハース | 280.9 |
14 | シューマッハ | ハース | 280.6 |
15 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 280.5 |
16 | ルクレール | フェラーリ | 280 |
17 | アロンソ | アルピーヌ | 279.8 |
18 | ライコネン | アルファロメオ | 279.7 |
19 | オコン | アルピーヌ | 279.4 |
20 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 242.3 |
フィニッシュライン
フィニッシュラインと中間地点1は共に、直前に回り込む低速コーナーがあるため同じような並びとなった。ウィリアムズとマクラーレンが上位を占めている。
Pos | Driver | Team | km/h |
---|---|---|---|
1 | ラッセル | ウィリアムズ | 308.9 |
2 | リカルド | マクラーレン | 307.5 |
3 | フェルスタッペン | レッドブル | 305 |
4 | ラティフィ | ウィリアムズ | 303.9 |
5 | ノリス | マクラーレン | 303.9 |
6 | ガスリー | アルファタウリ | 303.8 |
7 | ペレス | レッドブル | 303.4 |
8 | ベッテル | アストンマーチン | 303.2 |
9 | ストロール | アストンマーチン | 302.9 |
10 | アロンソ | アルピーヌ | 302.3 |
11 | ハミルトン | メルセデス | 302.2 |
12 | ボッタス | メルセデス | 302.1 |
13 | サインツ | フェラーリ | 301 |
14 | シューマッハ | ハース | 301 |
15 | マゼピン | ハース | 301 |
16 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 300 |
17 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 299.8 |
18 | オコン | アルピーヌ | 299.8 |
19 | ライコネン | アルファロメオ | 299.6 |
20 | ルクレール | フェラーリ | 297.2 |
中間地点1
Pos | Driver | Team | km/h |
---|---|---|---|
1 | ラッセル | ウィリアムズ | 308.9 |
2 | リカルド | マクラーレン | 307.5 |
3 | フェルスタッペン | レッドブル | 305 |
4 | ラティフィ | ウィリアムズ | 303.9 |
5 | ノリス | マクラーレン | 303.9 |
6 | ガスリー | アルファタウリ | 303.8 |
7 | ペレス | レッドブル | 303.4 |
8 | ベッテル | アストンマーチン | 303.2 |
9 | ストロール | アストンマーチン | 302.9 |
10 | アロンソ | アルピーヌ | 302.3 |
11 | ハミルトン | メルセデス | 302.2 |
12 | ボッタス | メルセデス | 302.1 |
13 | サインツ | フェラーリ | 301 |
14 | シューマッハ | ハース | 301 |
15 | マゼピン | ハース | 301 |
16 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 300 |
17 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 299.8 |
18 | オコン | アルピーヌ | 299.8 |
19 | ライコネン | アルファロメオ | 299.6 |
20 | ルクレール | フェラーリ | 297.2 |
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