バイデン米大統領は、反トラスト法(独占禁止法)の最高機関である連邦取引委員会(FTC)のトップに、大手IT企業への執行強化を提唱するコロンビア大学法科大学院准教授のリナ・カーン氏(32)を指名した。カーン氏は反トラスト法の専門家で、IT企業に対する厳しい姿勢で知られる。圧倒的な地位を持つ大手IT企業への規制に政府がどこまで踏み込むのかについて、カーン氏の意見は影響力を持ちそうだ。
アマゾン有害論脚光
上院は15日、カーン氏のFTC委員への指名を69対28で承認。その数時間後に、委員長への昇進が明らかになった。
バイデン大統領は3月にFTCの5人の委員の一人にカーン氏を指名した際、同氏を委員長に指名する意向を示していなかったことから、スローター委員長代行が正式に委員長に指名されるとみられていた。
カーン氏は指名を受け、声明を発表し「バイデン大統領により、FTCを率いる職に選ばれたことを非常に光栄に思う。企業による支配的地位の乱用から国民を守るために、同僚とともに働くことを楽しみにしている」と述べた。
FTCが組織として意思決定するには委員長を含む5人の委員のうち過半数の賛成が必要となる。民主党政権が指名したスローター委員長代行とチョプラ委員も独占禁止についてより強力な取り締まりを長らく主張。カーン氏が加わることで、同氏は競争や消費者保護にかかる調査に当たる職員への指揮権を大幅に掌握することになる。
カーン氏はイエール大学の学生だった2017年にアマゾン・コムに関する研究論文を発表して脚光を浴びるようになった。この中で同氏はアマゾンを有害な独占企業だと位置付け、米国の独禁法執行のあり方を考え直さなければならないような慣行を指摘した。
業界擁護団体は反発
IT企業が資金を拠出する複数の業界擁護団体は、カーン氏の指名を即座に批判。アマゾンなどIT企業が加盟するネットチョイスはカーン氏を「反トラスト行動主義」と呼び、FTCを政治化し、米国の経済例外主義を損なうことになると強調した。
ネットチョイスの法律顧問を務めるカール・スザボ氏は声明文で、「カーン氏は自身が提唱する反トラスト法改革で米左翼を説得する強力な経歴の持ち主だが、FTC委員の職務は反トラスト法をそのまま施行することで、委員の望むように施行することではない」と述べた。
独禁法をめぐる考え方も変化しており、IT企業の分割を支持し、反トラスト法刷新を求める動きが主流になっている。下院の超党派議員は先週、巨大IT企業の規制を強化するための一連の法案を提出した。(ブルームバーグ David McLaughlin、Josh Wingrove)
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