少々気の早い話だが、今秋、羽に数字などが書き込まれたアカトンボを見掛けるかも。ただし、宮城県北の世界農業遺産「大崎耕土」周辺で。大崎市は、環境変化に敏感なアカトンボの生態調査を市民参加型で進めている▼代表種のアキアカネは水田とともに分布が広がったとされ、夏は涼しい高地で過ごし、秋に平地に姿を現す。仲間のナツアカネを含め、大崎耕土を形成する水田や山、屋敷林「居久根(いぐね)」を移動しているとみられる。調査は2万~3万匹規模で、近隣の高校生らも協力した▼米国の動物学者エドワード・モースは、明治期に日光の中禅寺湖を訪れた際、何百万ものトンボの群れに「こんなに沢山(たくさん)いるのを見たことがない」と驚いたという。顔に当たり「実にうるさいことこの上なし」との感想も▼モースが見たのはアカトンボだろうか。そのアカトンボは近年、全国的に生息数が減っているという。「水田で羽化することを知らない人もいる。調査が身近な環境を守るきっかけになれば」と大崎市世界農業遺産推進課の担当者▼<いつも一人で赤とんぼ>。俳人種田山頭火の句のようにどこか郷愁を誘う存在。「巣ごもり」を強いられる今は、気ままに飛ぶ姿がうらやましい。今年は一層、アカトンボの舞う季節が待ち遠しく思える。(2021・8・30)
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