2021年08月02日05時27分
東京五輪・パラリンピックに、人間以外で唯一出場している生き物が馬だ。専門家によると、各国の選手と人馬一体の妙技を披露するべく「VIP待遇」で空輸され、無観客開催は逆に実力を出せる好条件。一方、人間と同じく猛暑や感染症対策には細心の注意が必要という。
馬が出場する五輪競技は3種目ある「馬術」と、選手が一人で水泳や馬術などをこなす「近代五種」の二つ。近代五種の選手には日本国内の馬が抽選で割り当てられるが、馬術では各国の選手と共に練習を積んできた馬が来日する。
国際馬術連盟によると、両大会のため海外から空輸される競技馬は約320頭。それぞれ住む所や毛の色などが詳しく記載された馬用のパスポートを持ち、1頭当たり40リットルの水や干し草、リクエスト可能な「機内食」が用意されるなど、「ビジネスクラス並みに安全かつ快適な環境で空輸される」(同連盟)という。
馬の行動学に詳しい楠瀬良農学博士は「音や光の刺激に敏感な動物。輸送時は馬運車のドアの開け閉めにも気を使う」と説明。無観客での競技は、選手のモチベーション低下にもつながるが、馬にとっては「歓声やカメラのフラッシュによる影響が小さく、本来の実力を発揮しやすくなるはず」とみる。
東京では連日猛暑が続いており、競技馬が熱中症を起こしたり、体の異変を理解できずパニックになったりするケースも想定されるという。楠瀬博士は「馬は自分の体が限界を迎えていても、人間の指示に従おうとする。少しの合間にもシャワーで冷水を掛けるなどして、体温管理に注意を払う必要がある」と指摘した。
人間と同様に、感染症対策も不可欠だ。国内では過去に「馬コロナウイルス」が流行したり、「馬インフルエンザ」で競馬の開催が中止に追い込まれたりしたことがある。
日本中央競馬会(JRA)競走馬総合研究所の根本学研究役は「競技馬は空輸前に検疫を受け、空輸後も発熱時に検査を受けることになっており、ウイルスを国内に持ち込む可能性は極めて低い」とした上で、「大会期間中、競技馬は1日2回の体温測定などが行われており、衛生管理が徹底されている」と話した。
からの記事と詳細 ( 無観客で実力発揮? 五輪唯一の出場動物、馬〔五輪・馬術〕 - 時事通信ニュース )
https://ift.tt/3rOxeVz
No comments:
Post a Comment