弱い立場の人に寄り添うはずの組織でのセクシュアル・ハラスメントが、近年相次いで明らかになっている。「原宿カウンセリングセンター」顧問の臨床心理士、信田さよ子さんは「正義」を掲げるからこその危険性を指摘する。
―フリースクールや福祉団体などで性暴力やセクハラが判明している。
ほとんどのケースが当初被害者からの訴えを取り合わず二次被害を与え、報道や被害者のブログで世間に公表されるまで謝罪しなかった。今回と同じ構造だ。
―人権に敏感な団体のはずだが。
社会正義の実現を掲げる組織では「正義のために働く自分たちは常に正義であり、間違いはない」と逆転した発想に陥りやすい。特に性加害では逆転ぶりがひどく根底にある女性蔑視とあいまって罪悪感が希薄だ。セクハラ防止対策にも本腰を入れない傾向がある。
普段の活動が立派なため周囲も批判しにくく、逆に被害者がバッシングされる。被害者自身も元は組織に共鳴していた場合が多く、理念と現実との落差に大きなショックを受ける。
―被害をなくすには。
法的な規制を強くすることだ。「逮捕される」と分かればセクハラは減る。しかし、まずは自助努力をしてほしい。人の尊厳を守るための集団なのだから。
◆近年判明した社会的弱者にかかわる団体の主なセクハラ
2018年
12月 原発事故や国内外の人権問題などを取り上げる写真誌「DAYS JAPAN」を発行する「デイズジャパン」(東京都世田谷区)が、フォトジャーナリストで代表取締役の広河隆一氏の性暴力を認め代表取締役から解任
2020年
2月 フリースクール「東京シューレ」(同北区)が、男性スタッフによる女性利用者への性暴力を認める
6月 精神障害者支援の社会福祉法人「浦河べてるの家」関連の団体「べてぶくろ」(同豊島区)が、活動中に性被害に遭った女性スタッフに対し二次被害を与えたと認める
11月 障害者支援の社会福祉法人「グロー」(滋賀県近江八幡市)と「愛成会」(東京都中野区)の元職員2人が、グロー理事長で愛成会元理事の男性から性暴力やパワーハラスメントを受けたとして男性とグローに損害賠償を求め提訴(係争中)
2021年
3月 社会的マイノリティーの情報メディアを運営するNPO法人「
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