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Saturday, April 30, 2022

猫センサーで道路を見守る? …伸縮装置の点検車両 NEXCO中日本が開発 - レスポンス

橋や高架道路を走っているときタイヤをタタンッと鳴らす路面の継ぎ目。橋梁の振動や変形を吸収する機能を持つ「伸縮装置」だ。道路の構造として必要なつなぎ目だが、その点検にはいくつか課題があったことから、新たに点検車両が開発された。

NEXCO中日本グループの中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京は、橋梁の伸縮装置を点検する作業の安全性向上と省力化を目的に、車両を走行するだけで伸縮装置の変状を検知する日常点検車両「ROAD CAT」を開発した。

現在は、点検員が高速道路の路肩に降りて点検している。開発された点検車両は、音や振動に敏感な猫のようなセンサを搭載し点検することから、「ROAD CAT」の愛称で呼ばれる。

●開発の背景

NEXCO中日本管内では、約4000橋に約1万1000基の橋梁の伸縮装置があるそうだ。伸縮装置は鋼製や硬質ゴム製で、劣化して破損や段差が発生すると、車両の走行に支障を与え、交通事故の原因にもなる。

NEXCO中日本では橋梁の伸縮装置に異常が無いか調べるため、車上からの目視などによる点検を週2回以上、高速道路の路肩に降りて異常音などを確認する降車点検を年2回、それぞれ行なっている。

降車点検では、点検員が路肩で目視点検と車両通過時の異常音などの確認をする。その際に課題となるのが点検員の安全確保であり、点検の評価を聴覚や体感に頼る定性的な点検となっていることだ。そこで、「降車することなく安全な点検の実施」と「定量的な点検結果の取得」および「路上規制の削減」を目的として、点検車ROAD CATが開発された。

●搭載システムは2種類

ROAD CATは、車両が伸縮装置を通過するときに発生する音から伸縮装置の健全性を計測するシステムと、変状部位を特定するための「JIシステム」(Joint Inspectionシステム)を搭載している。

伸縮装置の健全性を計測するシステムは、後輪のタイヤ付近に配置した小型マイクロホンと振動センサにより、伸縮装置を通過する音と車両の振動加速度を計測する。計測したデータを健全時のデータと比較し変化(差分)を分析することで、健全度を評価する。

JIシステムは、レ-ザ変位計を複数配置することにより、点検車が約80km/hで走行しながら1万分の1秒オーダーで路面の段差量を計測し、異常な音や振動が発生したタイミングと照合することで、伸縮装置の変状部位を計測する。

●愛知、岐阜、三重に先行導入

ROAD CATによる点検は、隙間が一定以上あり音や振動が発生しやすい伸縮装置を対象としており、管内の約半数の伸縮装置に適用できると想定されている。ROAD CATを導入することで、点検員の路上作業削減による安全性向上や省力化、点検結果の定量化が図られる。今後NEXCO中日本では、愛知県、岐阜県、三重県内の路線でROAD CATを試行導入し、点検結果の蓄積や評価の検証を行なった後、本格的に展開する予定だ。


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