日中で異なる発表
5月18日に、日中外相会談がテレビ会議の形で行われた。これについて、日中それぞれの外務当局の発表内容が著しく乖離しているとして、チャイナ・ウォッチャーの遠藤誉氏が寄稿した文章「日中外相テレビ会談内容の日中における発表の差異は何を物語るのか?」がYahoo News個人に掲載されている。
本稿では、発表の差異そのものについては簡潔にまとめ、これを日本の各メディアがどのように報じたか、その問題はどこにあるかについて検討したい。
まず日本の外務省の発表は、日本側の主張の紹介を中心に以下のような内容だった。
・日本国内の対中世論は極めて厳しい
・尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区等の状況に関する深刻な懸念を表明
・台湾海峡の平和と安定の重要性につき述べる
・在中国日本大使館員の一時拘束事案及び中国における邦人拘束事案について
日本の立場を改めて申し入れ
・日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を強く要求
・新型コロナによる様々な影響がある中で、在留邦人の安全の確保や
日本企業の正当な経済活動の保護等について中国側の適切な対応を要請
・ロシアによるウクライナ侵略は国連憲章を始め国際法の明確な違反であり、
中国が国際の平和と安全の維持に責任ある役割を果たすよう要求
・北朝鮮による拉致問題の即時解決に向けた理解と支持を含め、両外相は引き続き緊密に連携していくことを確認
(詳細は外務省HPの「日中外相テレビ会談」参照)
一方、中国外務省の発表では、
・最近日本側は台湾など中国の核心的利益や重大な関心を寄せる問題で否定的な動向が目立ち、一部の政治勢力はわけもなく中国に泥を塗り攻撃し、相互信頼を著しく傷つけ両国関係の根幹を揺さぶっている
・日本は両国間の基本的な信義を守り、中日関係を壊そうとする勢力の強大化を許さず 中国側とともに国交正常化50年の間に得られた貴重な成果を守るべき
・林外相は、「日中間には広範な共通の利益があり、協力の潜在力は大きく、前途は広々としている。日中国交正常化50周年にあたり、双方は両国の指導者の達成した重要な共通認識に基づき、建設的で安定的な両国関係を発展させるよう注力すべき。日本は中国側とともに、国交正常化の初心を忘れず、率直なコミュニケーションを通じて誤解を減らし、敏感な問題を妥当に処理し、政治的相互信頼を増したい」と表明
(詳細は中国外務省HP参照)
確かに遠藤氏の指摘の通り、本当に同じ会談かと思えるほど発表内容の差異は大きいが、最近とみに悪化が目立つ日中関係を前提とすると、それほど意外感がないのも事実である。では、日本メディアはこの会談をどのように伝えたのだろうか。
からの記事と詳細 ( 日中外相会談の激しい対立はちゃんと国民に伝わっているのか - 現代ビジネス )
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