学習や対人関係など学校生活に困難を抱えた子供が増えているという。様々な角度から調査や研究を重ね、一人ひとりの特性に合わせた支援体制を築くことが重要だ。
全国の公立小中学校の通常学級に在籍する子供の8・8%に発達障害の可能性があることが、文部科学省の調査でわかった。10年前に行われた調査よりも2ポイント以上増えており、35人学級なら1クラスに3人程度の割合になる。
発達障害は生まれつきの脳機能の障害が原因とされ、読み書きや計算が困難な「学習障害(LD)」、落ち着きがない「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、人の気持ちを読み取るのが苦手な「自閉スペクトラム症」などがある。
調査は5万人以上の小中学生を抽出し、発達障害の傾向があるかどうかを担任教員らがチェックする形で行われた。医師による正式な診断ではないが、様々な困難を抱えた子供が一定数いる現実は重く受け止める必要がある。
調査のチェック項目には、「文法的な誤りが目立つ」などの学習面と、「順番を待つのが難しい」「共感性が乏しい」といった行動面の問題がある。両方の問題を抱えているケースもある。
国は今年、新規採用された教員に、障害のある子供が在籍する特別支援学級の担任などを2年以上経験させるよう、各教育委員会に通知した。こうした施策を着実に進め、専門的な支援ができる教員を養成することが急務だ。
それぞれの子供の特性に応じた支援計画を作成し、例えば、音に敏感な子供には静かな環境で学ばせるなどの配慮をすることが有効だろう。対応を担任教員だけに任せず、校長や教委も積極的に支援にかかわってもらいたい。
文科省は、教員や保護者の間で発達障害への理解が深まり、困難を抱える子供が目に留まりやすくなったことが、増加の要因だと分析している。
さらに、テレビゲームやスマートフォンを利用する子供が増え、言葉や文字に触れる機会や、対面での会話が減ったことも影響した可能性があるとも指摘した。
先天的だとされる障害にスマホやゲームはどう影響するのか、掘り下げた調査や研究が必要だ。医師との連携も進めてほしい。
発達障害とされる人の中には、突出した集中力を発揮するなど、特別な才能を持つ例もある。適切にサポートすることで、才能がさらに開花する可能性があることも忘れないようにしたい。
からの記事と詳細 ( 社説:子供の発達障害 調査研究の掘り下げが必要だ - 読売新聞オンライン )
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