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Thursday, February 27, 2020

リアル陸王 足の機能を強化する「はだし靴下」 - 産経ニュース

 国内最大の靴下の産地として知られる奈良県広陵町の老舗メーカー「昌和莫大小(しょうわめりやす)」(井上克昭社長)が立ち上げた自社ブランド「OLENO(オレノ)」が評判を呼んでいる。スポーツ工学に基づいた設計の「はだし靴下」は足裏の筋力やバランス感覚を取り戻すのに有効とされる。また、アスリート用に開発した製品は今年1月の箱根駅伝で誕生した大記録もアシストしたという。中国製を中心とする輸入品の攻勢を受ける靴下業界。生き残りをかけた商品開発の舞台裏に迫った。  (田中一毅) 

耐久性は100倍超

 近年、浮き指や扁平(へんぺい)足、外反母趾(ぼし)といった幼児の健康不良が深刻化。感覚器としての足を育み、機能を高める「はだし教育」が見直されている。

「OLENO」のはだし靴下。コンセプトは「かっこよくて、機能的、品質にこだわりを」だ
「OLENO」のはだし靴下。コンセプトは「かっこよくて、機能的、品質にこだわりを」だ
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 ただ、けがのリスクを伴うことから、保護者からは敬遠されがちだ。「はだし教育が浸透しなくて…」。産官学の連携を話し合う会合で、県の担当者が漏らした一言が開発のきっかけとなった。

 井上社長は「靴の代わりになり、なおかつはだし感覚で足を鍛えられるものを作りましょう」と提案。県、畿央大(同町)と共同で、平成25年に子供用「はだし靴下」の開発が始まった。

 陸上長距離界を席巻するナイキの「厚底」に象徴されるように、シューズの技術革新は目覚ましい。一方で井上社長は、最先端の衝撃吸収材や反発力を兼ね備えた高機能シューズが、人間が本来持っている足裏の機能を退化させた要因の一つと指摘する。

 「例えば、ジョギング時の着地の衝撃を『10』とすると、靴が『5』を吸収する。間違った着地をしても靴がカバーしてくれるので、膝や腰に負担がかかっていても気づきにくいんです」

 はだし靴下は衝撃吸収力や反発力が少ない分、正しいフォームで走らなければ脚に痛みが生じることも。それゆえ、無理のない走法に自然と補正してくれるというわけだ。

 外履きができる靴下とあって、開発に当たってはいかにして安全性を保つかが課題だった。ソール部分には、防弾チョッキなどに使われるスーパー繊維を採用。同じ太さのピアノ線に比べて8倍の強さを誇り、耐久性は通常の100倍以上、JIS規格摩耗強度テストに74万回以上(一般的な基準は千回)にも耐えられる設計だ。

 また、横編み機によって編む針の本数が変更でき、よりフィット感を生む3D設計を実現。つま先などの縫い目もなくなり「肌に当たって痛い」ということもなくなった。ソール部分には10回以上も試作した特殊なシリコーンラバーを使用し、路面と靴下が滑らないグリップ力を生んだ。

 ただ、その強さゆえ「通常の靴下を編む丸編み機では、針が折れて編めなかった」と井上社長。機械メーカーと協議し、目を付けたのが、セーターなどを編む横編み機だった。価格は1台約700万円。導入後も機械や素材の改良、試作を重ね、3年もの月日を経て商品化にこぎ着けた。

広陵町靴下組合が実施する靴下デザインコンテストの受賞作品
広陵町靴下組合が実施する靴下デザインコンテストの受賞作品
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 28年10月に子供用の販売を開始。翌年2月、大人用のデビューを機に、自社ブランド「OLENO(オレノ)」を立ち上げた。

 OLENOには、筋力やバランス感覚の回復を目的とした製品や吸収速乾性を高めたスポーツ用、ウール素材のトレッキング用など用途に合わせ5種類のはだし靴下がある。

箱根駅伝で快走

 さらに、アスリート用の靴下「アルティメットソックス」も開発。シューズを履いたときの足との一体感を考慮して設計された。摩耗しにくい繊維を使用しながらメッシュ構造で速乾性に優れ、土踏まず部分のゴムの張力を変えて激しい運動をサポートする。

 愛用者には、未舗装で起伏のある山道を走るトレイルランニングの選手が多いが、1月の箱根駅伝で過去最高の5位に入った東京国際大学も採用した。昨年11月、知り合いの愛用者からの紹介で、井上社長が大志田秀次監督に直接売り込みをかけ、大学側が提供したトップ選手20人分の足のサイズを基に、別注で製作したところ、3区(21・4キロ)で59分25秒の驚異的な区間新をたたき出したケニア人留学生、ビンセント選手や伊藤達彦選手(2区)ら10区間のうち5人が着用。実際、箱根を走った大上颯麻選手(1年、6区)と丹所健選手(1年、1区)からは「薄くて強く、ムレ感がない。靴とのズレがないので、一体感がありよかった」との声も上がったという。同大初となるシード権獲得の陰に、OLENOの存在があった。

地場産業の活性化へ

 日本靴下工業組合連合会の調査によると、短靴下の国内市場は平成14年に海外製が国内製を逆転。29年には全体の88・5%を海外製が占めた。大手メーカーからの受注生産で成長してきた昌和莫大小にとっても、独自ブランドは新市場創出の一手となる。

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 「子供がこの靴下しか履かなくなった」、「マラソンのタイムが10分も縮まった」などと高評価が相次いぐOLENO。井上社長は「僕らがリーダーシップを取り、『OLENO』を発信することで広陵町の靴下産業が活発になれば」と表情を引き締めた。

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February 28, 2020 at 08:30AM
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