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Wednesday, June 3, 2020

海外の“栄養ウェビナー”で話題に 今、欧米アスリートが注目する2つの食事法 - THE ANSWER

Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「今、欧米のアスリートが注目する2つの食事法」について。

世界のトップ選手は、野菜、果物など植物性の食品を食べるプラントベースド・ダイエットなどを実施している
世界のトップ選手は、野菜、果物など植物性の食品を食べるプラントベースド・ダイエットなどを実施している

公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載、今回は「今、欧米選手が注目する2つの食事法」

 Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「今、欧米のアスリートが注目する2つの食事法」について。

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 私が所属するアメリカ栄養士会のスポーツ循環器栄養グループ(SCAN)主催で、流行の食事法がもたらすアスリートへの影響についてのウェビナーが開催されました。今回はそのウェビナーで取り上げられた食事法のうち、今、欧米の一部のアスリートたちが実践・注目している代表的な2つについてお話ししましょう。

 今、日本のアスリートの間でも注目されている食事法といえば、ケトジェニックダイエット(ケトン食)ではないでしょうか。

 ケトジェニックダイエットとは、元々はてんかんの治療のために考案された食事療法。厳密な定義はありませんが、論文などによると1日の総摂取エネルギー量に占める糖質の割合を5~10%未満に抑える一方、脂質の摂取量は70~80%程度にするというもの。糖質をほとんど摂らないのが特徴で、なかには5%以下の食事プランもあり、わかりやすい言葉で表現すると「超低糖質」ダイエットといえます。

 1日の総摂取エネルギーに占める糖質の割合が5~10%未満となると、1日3500kcalを摂取するサッカー選手の場合、米に換算するとご飯茶碗1~2杯が目安量です。ただし、糖質は野菜や果物にも含まれるので、実際にはほとんどお米は食べられないと考えてよいでしょう。

 運動時のエネルギー源は糖質が分解、変換されてできる代謝物「グルコース」と脂質を構成する「脂肪酸」ですが、この2つは、運動強度や運動時間によってエネルギー源に占める割合が変わってきます。

 グルコースは筋肉に貯蔵されているグリコーゲンからも分解・変換されますが、脂肪酸と異なるのは、体内に貯蔵できる量が非常に少ない点です。ですから、例えばトライアスロンやウルトラマラソンのように、長時間、持久系の運動を行う競技の場合、いかに競技中、糖質を補給するか、グルコースの消費を節約できるかが、後半のスタミナに大きく影響します。

 そこで、アスリートたちは普段から糖質の摂取量をほとんどなくしてしまうことで、運動時における脂肪酸の利用量を増加させようと、ケトジェニックダイエットを採用。グルコースの代わりに肝臓で生成されるケトン体をエネルギー源として利用できる身体にすることで、グルコースの枯渇を防ごう、というわけです。

 ただし、このように身体が適応するまでには、数週間から数か月かかると言われています。また、最初の数週間は「疲れやすい」と感じたり、「高脂肪食は食べにくい」と受け入れられない人もいたりと、効果が得られるまでには様々なハードルがあることを頭に入れておく必要があります。

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