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Sunday, June 28, 2020

社説 [性犯罪対策強化] 一歩前進だが、懸念も - 沖縄タイムス

 「もう黙らない」と声を上げた被害者たちの勇気が、国を動かした。

 性犯罪と性暴力対策を強化する政府の方針がまとまった。関係府省会議で決定した総合対策で、今後3年間を「集中強化期間」と位置付ける。

 「魂の殺人」ともいわれる性暴力は、被害者の人生に長く深刻な影響を与える。内閣府の調査では、女性の7・8%が無理やり性交された経験を持つ。さらに被害者の半数は心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状を抱えているとされる。

 政府は方針の冒頭に「性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為」と書き、重大な人権侵害とみなす。その上で「根絶は待ったなしの課題」とする。

 対策の柱となる被害者支援の充実では、国が夜間休日に受け付けるコールセンターの新設や警察に被害届が出された場合は即時受理を徹底、教育・啓発では、年齢に応じた予防教育を学校現場で取り入れることなどを明記する。

 再犯防止策として、仮釈放や執行猶予中の人に衛星利用測位システム(GPS)機器の装着義務付けのほか、子どもにわいせつ行為をした教員や保育士の資格再取得の厳格化の検討も盛り込む。

 予算措置など課題は多いが、これほど網羅的な方針がまとめられるのは初めてのことだ。

 性被害を告発する「#MeToo」運動のうねりや、性暴力を許さないとの意思を示す「フラワーデモ」の広がりが、政府の重い腰を動かす力となった。

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 GPSの装着を巡っては、既に実施している欧米など海外の法制度や運用状況、再犯防止の効果を2年程度かけて調査するという。

 被害の深刻さは正面から受け止めなければならないが、監視に重点を置くGPS導入は課題も多く慎重な検討を求めたい。

 日常の行動や就職が妨げられ社会から排斥されるなどの人権侵害、憲法が禁止する「二重処罰」の恐れがあるからだ。

 一時期、宮城県でも性犯罪の前歴者らにGPSの携帯を義務付ける条例案の検討が進められた。だが効果への疑問や人権上の観点から見送られた経緯がある。

 性犯罪の再犯防止は大きな課題だ。

 出所後の継続的な矯正プログラムの実施や医療との連携、孤立や困窮を防ぐ支援など一つ一つの対策を着実に、総合的に取り組んでいく必要がある。

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 性暴力被害者らでつくる団体が強く要望する刑法改正について、政府方針は「検討を進める」とあいまいな表現にとどまっている。

 現行の強制性交罪は「暴行・脅迫」を立証できなければ成立せず、立件のハードルが高い。このため被害者らは、同意していない性交だと認識できれば罰することができる法改正を求めている。

 ヨーロッパを中心に同意のない性交は処罰される流れにある。

 性暴力を許さない社会をつくるためにも、見直し要求にきちんと向き合ってほしい。

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