新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による大幅な日程変更で史上初の12月開催となった女子ゴルフの「全米女子オープン」が10日(日本時間11日未明)に米テキサス州のチャンピオンズGCで開幕する。 日本からは、米ツアーを主戦として世界ランキングでは日本人最上位7位の畑岡奈紗(21、アビームコンサルティング)、昨年の全英女子覇者の渋野日向子(22、サントリー)、今季ツアー最多の3勝をマークした世界同15位の古江彩佳(20)、ツアー2勝の笹生優花(19、ICTSI)ら過去最多となる18人が出場する。すでに予選ラウンドの組み合わせも発表されているが、海外メジャーの大舞台で輝くのは誰なのか。 全米女子オープンは通常6月開催。今回は日照時間の短い冬場の競技となるが、従来の156人による開催にこだわった大会主催者の全米ゴルフ協会(USGA)は予選ラウンドを2コースで実施。大会史上初めて選手を分散することで、女子では最も歴史のあるメジャー大会は、コロナ禍の今年も規模を縮小することなく開かれることになった。 ただ、2コースを回らなければならない出場選手は、練習ラウンドに多くの時間を費やすことになる。予選会などが行われなかった今年の大会には世界ランキング上位者らが参加するが、異例ずくめの大会は調整の得手不得手も成績を大きく左右するだろう。 予選ラウンドが開催されるのは、サイプレスクリークコース(6731ヤード、パー71)とジャックラビットコース(6552ヤード、パー71)の2コース。コースの特徴なども考慮し、練習ラウンドでは多くの選手が決勝ラウンドの舞台となるサイプレスクリークを中心に回った。5日に会場入りした渋野もその一人で、5日に18ホール、6日に9ホールをチェック。距離のあるタフなコースを精力的に回った。
渡米前の国内ツアーは「大王製紙エリエールレディス」で5位、年内最後の国内ツアーとなった「JLPGAツアー選手権リコー杯」は3位と右肩上がり。不本意な成績に終わった8月からの2カ月間の英米遠征とは違い、「全英や全米プロのときより、かなりプラス思考で臨めると思う」とメンタル面も充実している。リコー杯後には「日本でちょっとずつ調子が良くなった。今回は2コースで予選ラウンドを回ったり、今までとは違うけど、自分らしいプレーがアメリカでもできたら予選は通過できるかな。まずそこを目指していきたい」と明るい表情で話していた。 今回の2コースに共通するのは、グリーンの難しさ。特にサイプレスクリークはグリーンが大きく、アンジュレーションも強烈で、しかもほとんどのホールが砲台の2段グリーン。冬場でラフはさほど深くないが、アプローチ、バンカーショットに苦戦する渋野にとっては落としどころをしっかり計算してのパーオンがスコアメークの大きなカギを握ることになる。 米ツアーで現在賞金ランキング4位につける畑岡が日本勢で最も頼れる存在であることに誰も異論はないだろう。大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」の優勝予想オッズでは日本人トップの8位。23倍のオッズがついている。ちなみに優勝予想トップは今季の「全米女子プロ」を制したキム・セヨン(21、韓国)の11倍。 畑岡に次いで旋風を巻き起こす可能性のある選手として名前が挙がるのは、古江と原英莉花(21、日本通運)の2人だろう。 ともに海外メジャーは初挑戦だが、プロ2年目の古江は国内では2週連続Vを含めて今季3勝。ボギーを打たないクレバーなゴルフは世界最高峰の舞台でも十分に通用しそうだ。
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