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Tuesday, February 9, 2021

世界でワクチン争奪戦が激化、国産ワクチンの重要性高まる…開発遅れる日本企業に政府が支援強化 - 読売新聞

 政府は、新型コロナウイルスの国産ワクチン開発支援を強化する。世界でワクチン争奪戦が激化し、各国の囲い込みにより供給が滞る事態が懸念される中、国産ワクチンの重要性が高まっている。効果や副反応を調べる大規模な臨床試験の費用を国内メーカーに補助し、実用化の加速を図る。

 政府は、2020年度第3次補正予算に関連費用1200億円を計上した。

 国産ワクチンの実用化は、開発体制の弱さなどから遅れている。動物実験などを経て、開発の最終段階となる臨床試験が一部で行われている。

 医療新興企業・アンジェス(大阪府茨木市)は20年6月、塩野義製薬(大阪市)は同12月から始めている。第一三共(東京都中央区)、KMバイオロジクス(熊本市)も今年3月頃の開始を目指す。

 ただ、実用化までには、多額の費用がかかる。新型コロナの発症や重症化を抑える効果のほか、どのような副反応がどれくらいの頻度で発生するかなどを臨床試験で詳しく調べる必要がある。数万人に参加してもらう場合があるため、国内だけでは参加者の確保が難しい。海外での実施も想定される。政府はこの費用を補助する。

 新型コロナのワクチン開発は、豊富な資金力や技術力のある海外の大企業が先行している。米ファイザー、英アストラゼネカなど海外勢は、各国政府などの強力な支援も受け、1年足らずで、実用化にこぎつけた。日本国内でも、ファイザーなど2社が厚生労働省に承認を申請した。2月中旬から医療従事者向けに先行接種が始まる予定だ。

 新型コロナでは、ワクチンの効果がどれだけ続くかはまだわかっていない。インフルエンザのように毎年、接種が必要になる可能性もあり、各国は安定的な供給体制の整備を進めている。欧州連合(EU)は、域内で生産されたワクチンの輸出制限措置を導入し、許可制としている。

 国内では、海外で先行する新技術を用いたワクチンなど、従来型を含む幅広いタイプのワクチン開発が進んでいる。

 アンジェスと第一三共のワクチンは、新型コロナの遺伝物質の一部を主成分とする新タイプだ。アンジェスはDNA、第一三共はメッセンジャーRNA(mRNA)という遺伝物質を人工合成して体内に入れ、人の細胞で、ウイルス表面にあるたんぱく質を作らせる。このたんぱく質の特徴を免疫が記憶し、実際にウイルスが侵入してきたときに攻撃する。

 遺伝物質を使うことで、迅速な開発が可能となり、欧米などで接種が始まっている米ファイザーや米モデルナのワクチンも、mRNAを主成分としている。

 塩野義は、ウイルスのたんぱく質を工場で量産し、主成分とする従来型。KMバイオは、ウイルスの感染力をなくした「不活化ワクチン」で、インフルエンザワクチンと同じ技術を使っている。

 北里大学の中山哲夫特任教授(臨床ウイルス学)は「今後の感染症に対応できるよう、様々な技術で開発、生産できる能力を国内で養っておくことが大切になる」と話している。

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