2021年04月26日07時01分
【イスタンブール時事】オスマン帝国の後継国家トルコにとって最も敏感な歴史的問題の一つである「アルメニア人虐殺」を米政府が認定したことについて、トルコ政府は失望を深めている。トルコと長年敵対するアルメニアは米国の動きを手放しで称賛した。
米政府が声明を出した24日について、トルコ大統領府は「米国との2国間関係において、極めて残念で悲しい日となった」と表明。トルコ外務省は駐トルコ米大使を外務省に呼び「人々の感情を深く害し、両国関係に修復の難しい傷口を広げた」と指摘した。
在トルコ米大使館は現地で声明に対する抗議行動が起きる可能性があるとして、ビザ発給窓口を26、27の両日閉鎖すると発表。トルコに滞在する米市民に対して「注意深く、目立たない行動」などを呼び掛けた。
一方、アルメニアのパシニャン首相は声明について、米議会が2019年に虐殺を認定していたことにも触れ、「米国は人権、普遍的価値観を守るという責務を改めて果たした」と述べた。オスマン帝国時代の「虐殺の記憶」を胸に刻み、世界各地に離散した後も強い民族的な結束を維持してきたアルメニア人にとって、認定の意義は大きい。
アルメニアと昨年、係争地ナゴルノカラバフをめぐり戦火を交え、実質的に勝利したアゼルバイジャンは、戦時中の支援を惜しまなかったトルコに同調。トルコのエルドアン大統領は声明発表直後にアゼルバイジャンのアリエフ大統領と電話で今後の対応を協議し、敗戦後の朗報に沸くアルメニア側をけん制する形となった。
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