新型コロナウイルス感染拡大で思うようにレジャーを楽しめない日々が続く中、家族湯への関心が高まっている。熊本では一般的だが、普及しているのは熊本や鹿児島など九州の一部という家族湯。貸し切りで密を避けられるとあって、新たな顧客獲得につながっている。
「家族だけでゆっくりと満喫できるので安心。温泉もとても気持ちよかった」。6月上旬、熊本県和水町の貸し切り湯「湯亭[ゆてい] 上弦の月」を家族4人で訪れた熊本市の会社員、中村一史さん(32)は、満足そうに話した。ここ最近、休日に家族湯を巡ることが多くなったという。
上弦の月は、13室ある貸し切り風呂すべてに内湯と外湯を併設。庭も含めた細部までこだわった純和風の造りが売りだ。亭主の福田厚氏さん(49)は「客が入れ替わるたびに湯桶や椅子も消毒している。心からリラックスして温泉を楽しんでほしい」。
2008年のオープン当初から地元客に加えて日帰り観光客の利用が多かったが、最近では「大浴場で温泉を楽しんでいた人たちが家族湯に流れてきているように感じる」。昨年4月の緊急事態宣言が解除されて以降、予約の電話が増えている。福田さんは「家族湯がコロナ禍とも共生できる業態だとあらためて実感した」と話す。
熊本市北区植木町の家族湯「温泉邸 湯[ゆ]~庵[あん]」でも、新規客からの問い合わせが増えた。「家族湯のシステムについて聞かれることが多くなった。“お一人様”の利用客も以前より増えている」と吉岡宏倫[ひろのり]社長(47)。これまで一人客は週に1~2人ほどだったが、最近ではほとんど毎日、見かけるようになったという。
小さな子ども連れ家族やカップル、タトゥー(入れ墨)を入れている外国人らをはじめ、人目を気にせず入浴を楽しみたい層を中心に集客してきた家族湯。吉岡社長は「コロナ禍をきっかけに、ほかの客と接することが少ない貸し切りならではのメリットが見直されている」とみる。
湯船のお湯を客ごとに入れ替える家族湯独特の営業スタイルも、新たなファン獲得にプラスとなっている。大量の湯が必要となるため導入可能な施設は限られるが、上弦の月、湯~庵ともに開業当初から湯の入れ替えを続けてきた。両施設とも「結果として、感染対策に敏感な客の支持獲得にプラスとなっている」と手応えを口にする。(田中慎太朗)
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