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Monday, February 14, 2022

<社説>トンガの復旧 支援と感染防止両立を - 東京新聞

 南太平洋・トンガ沖の海底火山大噴火と津波の災害から、十五日で一カ月。日本など各国の復旧支援は、新型コロナウイルスの感染拡大などに阻まれ、はかどっていない。感染防止との両立は難題だが、住民生活が早期に正常化するよう支援方法に知恵を絞りたい。

 噴火では、首都のあるトンガタプ島など広範囲に火山灰が降り、最大で高さ十五メートルの津波が押し寄せた。死者数こそ三人だったが、トンガの人口十万六千人のうち84%が被災したという。

 国連によると、同島では百棟近くが深刻な被害に遭い、全戸が破壊された離島もある。被災者の多くはテントなどで寝泊まりしている。飲料水は火山灰で汚染され、食糧も不足しているという。

 こうした中、近隣のニュージーランドやオーストラリアは、いち早く積極的な支援を展開。日本はこれまでに、約二億六千万円の緊急無償資金援助を決め、飲料水や火山灰除去用の高圧洗浄機五十台などを空輸した。今は自衛隊の輸送艦が各島を巡回し、海水を淡水化した飲料水を供給している。

 しかし、コロナ禍で活動には制限がかかる。

 トンガ政府は、一昨年の流行初期から外国人の入国の原則禁止を続けている。国民が感染症に敏感なことが背景とみられる。約百年前のスペイン風邪では、人口の4〜8%が犠牲になった。国民の多くが肥満傾向で糖尿病など基礎疾患のリスクが高い。病院など医療インフラも脆弱(ぜいじゃく)だ。

 水際措置が奏功し、感染者は累計一人だけの状態が続いていたが、支援が始まってから増加。今は新規感染者が三十人以上の日もあり、多くの島で都市封鎖(ロックダウン)が行われている。

 このため、現地の人と接触せずに物資を受け渡す「完全非接触」の支援が続く。海外からの支援要員は現場に入れず、火山灰やがれきの除去を手伝えない。支援物資も、消毒の上、七十二時間の隔離が義務付けられている。こうした状況は、いずれ仮設住宅建設などにも影響しよう。

 日本は、トンガを含む島嶼国(とうしょこく)の首脳を招く「太平洋・島サミット」を開き、友好を深めてきた。「3・11」の経験などを生かした支援に期待がかかるが、最小限の要員だけでも、現場で安全に活動できるようトンガ政府と調整するなど、打開策を見つけてほしい。

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