在中国米国企業などが加入する中国米国商会は3月8日、中国ビジネス環境調査レポートを発表した。同レポートは2021年10~11月に実施した同商会の会員企業向けアンケートの結果を取りまとめたもの(注1)。レポートによると、2021年の売上高が前年比で増加するとの回答は58%(前年比23ポイント上昇)となった。税引き前・利払い前利益(EBIT)は59%が黒字で、前年より3ポイント上昇した。また、EBITが前年比で増加した企業は45%、横ばいは39%となった。
今後の事業展開について、2022年に中国における「投資を拡大する」と回答した企業は66%だった。業種別では、工業・資源産業や消費者向け産業で「投資を拡大する」との回答が全体平均を上回った(注2)。生産・調達の中国からの移転を検討または開始している企業は14%(前年は15%)だった。他方、今後の中国市場の成長見通しについて楽観視しているとの回答は64%となり、前年比では11ポイント低下した。
経営上の問題点は、前年と同様「米中関係の緊張悪化」が56%で1位となったほか、「法律と執行の不一致」が31%で2位になった。業種別にみると、技術・研究開発業で「規制対応・コンプライアンスリスク」が、企業向けサービス業で「データセキュリティに関する懸念」がそれぞれ2位となった。このほか、米中関係に関しては、42%の企業が政治的に敏感な問題について声明を出す(あるいは出さない)よう求める圧力が高まっている、と回答している(注3)。
米中貿易摩擦の影響としては、「中国での投資決定を延期または取り消す」との回答が18%、「中国での販売機会を得るため、より多くの生産・サービス・知的財産権を中国に移転する」が17%、「中国外での部品調達や組み立てを追求するなど、サプライチェーンを調整する」が11%だった。
中国が目標に掲げている、2030年カーボンピークアウトおよび2060年カーボンニュートラルに関しては、80%が対応を検討あるいは実施していると回答した(うち53%はすでに実施と回答)。検討・実施している対応としては、自社が環境に与える影響の最小化(66%)、エネルギー効率の高い技術の採用(53%)、パートナーやサプライヤーとの協力(46%)などが挙がった。課題としては、実施が容易でない(38%)、政策が明確でない(34%)、費用対効果の大きい対策がない(27%)などがあった。
(注1)回答数は353社となっている。
(注2)レポートにおいて、回答企業は以下の4種に分類されている。これ以外にNPOや業界団体などが27社ある。
- 技術・研究開発業(68社):航空宇宙、医療製品(製薬、医療機器など)、テクノロジー・電気通信(ハードウエア、サービス)。
- 工業・資源産業(73社):農業、自動車・車両、機械、設備、システム・コントロール、石油・天然ガス、エネルギー、その他の工業分野(化学品、鉱業、製紙・包装など)。
- 消費者向け産業(101社):消費財、教育、医療サービス、ホテル・旅行・娯楽、メディア・エンターテインメント、小売り・流通。
- 企業向けサービス業(84社):金融サービス(銀行、保険など)、投資(プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルなど)、不動産・開発、運輸・物流、その他サービス(法律、人的資源、会計、マーケティング、広告・PR、調査、コンサルティングなど)。
(注3)具体的には66%が中国政府から、33%が中国メディアから、32%が米国政府からの圧力が高まっていると回答した。
(小宮昇平)
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