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Wednesday, December 30, 2020

[MOM3335]FC東京U-18GK西山草汰(1年)異例のトップ帯同で体感した「プロの世界」初出場GKが連続PKストップ! | ゲキサカ - ゲキサカ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.29 日本クラブユース選手権U-18大会準決勝 FC東京U-18 0-0(PK4-3) 大宮U18 敷島公園サッカー・ラグビー場]

 FC東京U-18を敗退危機から救ったのは、代役起用の1年生守護神だった。今大会初出場のGK西山草汰(1年)は0-0で迎えたPK戦で、相手キッカーの4人目と5人目を立て続けにストップ。「中学校の時から止めることが多くて得意だった」と胸を張るスキルを活かし、チームを3年ぶりの決勝の舞台に導いた。

 FC東京は今大会、背番号1のGK彼島優(2年)が正ゴールキーパーを務めていたが、準々決勝サンフレッチェ広島ユース戦の試合中に負傷。全国準決勝という大舞台で初めて、FC東京U-15むさし出身の西山に出番が回ってきた。

「天然というかのほほんとしていて、フワフワしているけど意外と芯がある。今日も『俺、準備できてます』って力強く言っていたので信頼していた」。主将のMF常盤亨太(3年)にそう言わしめるほどのメンタリティーを持つ西山だが、さすがに試合前は「緊張していた」(西山)という。

 その緊張感は、先輩からのバトンを受け継ぐ責任感の表れだった。「優くんがずっとすごい思いを持ってプレーしていて、ガッツあるプレーで怪我をしてしまった。だからこそ、自分のプレーを最大限出せるようにプレーしようと思った」。敗退した時点で引退となる3年生からも「身体を張るプレーを見ていて、この大会への思いを感じていた」と刺激を受け、ゴールマウスの前に立った。

 シュート数16対4というスタッツどおり、規定の90分間では西山の出番はそう多くはなかった。それでも攻撃陣が決定力を欠き、勝負の行方は0-0のままPK戦に。チームの命運は最後の最後で1年生キーパーに託されることになった。

 185cmの身体を大きく広げて構えた西山だったが、後攻の大宮アルディージャU18のキックは2人目まで成功した。すると先攻3人目、FC東京は主将の常盤がまさかの失敗。大宮の3人目も高い精度のキックで成功させ、4人目でさらなる差がつけば、その時点で敗退という危機に瀕していた。

 しかし、FC東京の中村忠監督は冷静にその状況を見つめていたという。

「このチームは常盤をキャプテンにした時点で良くも悪くも常盤という入り方をしている。責任を持って戦ってくれているので外したところで変わらない。ただ、西山がいつでも任せられる状況で準備をしてきていてので、1本は必ず止めてくれると信じていた」。

 そうした信頼の裏には、西山が1か月前に経験した異例のトップチーム帯同があった。FC東京は11月、カタールでセントラル開催されたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に参戦。帰国後は2週間の待機措置が強いられる制度(のちに一部撤廃)だったため、急遽2種登録された西山は国内に残ったプロ選手たちとともにトレーニングを行っていた。指揮官は当時を「自信をつけて帰ってきた」と振り返る。

 コロナ禍で練習試合すらままならなかった高校1年生がプロ選手に混じって練習するとなれば、レベル差は明白。しかし、西山はこの経験を大きな糧としたようだ。その経験は「シュートの速さと狙うコースがものすごい」というピッチ上のものだけでなく、それ以上に衝撃を受けたのはプロ選手のメンタリティーだったという。

「トップチームの練習に関わっていく中で、自分を出していかないとこの世界で生きていけないと感じたので、自分を出していくということをすごく意識するようになった」。そこで名前が挙がったのは同じFC東京U-18出身のFW矢島輝一。「輝一選手は自分の色を出すために味方を使ったり、こういうパスを出してほしいと強く要求していた。そういう選手じゃないとプロには上り詰められないと分かった」。そうした強気なメンタリティーがPK戦の土壇場で発揮された。

 相手キッカーの4本目、西山はそれまで止めることのできなかった3本と同様、相手の動きをギリギリまで見つめながら駆け引きすると、甘いコースに飛んできたボールを足を残してストップ。そして味方が成功して迎えた5人目は、左に飛んできたボールを的確な読みで弾き出した。「自分を信じてPKに挑んでいったので止めることができて良かった」(西山)。止められなかった3本でも自信を失わず、自らのプレーにフォーカスし続けた冷静さが光った連続ストップだった。

 初めて経験する準決勝の大舞台で勝利に導き、これで残るは鳥栖U-18との決勝戦。それでも「今日の出来は50点」と振り返った西山は「結果は自分で持ってくることができて評価できるけど、ゲーム内容は貢献できるものではなかった。フィードでミスが多かった」と述べ、さらなるレベルアップを誓った。「まずはフィールドの中でチームの貢献して、勝利をつかめるように最善の準備をしたい」。タイトルをかけた一大決戦、1年生守護神はさらなる成長を見せる構えだ。

(取材・文 竹内達也)


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