その一方で、明るく、人の心の機微に敏感な善逸のさりげない優しさには、多くの人が救われてきた。しかし、2021年に放映予定のアニメ第2期「遊郭編」では、善逸の「いつもとちがう一面」が描かれている。どんな時に、善逸は、“善逸らしくない行動”をとるのだろうか。そこから浮かびあがる、善逸の真の姿について考察する。【※ネタバレ注意】以下の内容には、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。 * * * ■三枚目なキャラクター・我妻善逸 我妻善逸(あがつま・ぜんいつ)は、『鬼滅の刃』のメインキャラクターで、主人公・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)の親友である。最前線で過酷な鬼狩りの任務にあたり、竈門兄妹を支える重要な人物だ。 しかし、彼のキャラクターは、いわゆる「三枚目」である。コミカルで、面白おかしい言動が繰り返される。「最終選別」の場面では、悲壮な顔で鬼殺隊入隊試験に挑んでおり、「ここで生き残っても結局死ぬわ」と言いつづけるなど、他の志願者に比べて「臆病者」に描かれている。また、鬼殺隊に入隊した者は、伝令役のカラスを得るが、善逸だけはかわいらしいスズメがつけられており、剣士としての重厚感はあまりない。 さらに、初任務では、道中で初対面の女の子にプロポーズをしたり、炭治郎に助けてくれと懇願したりと、周囲をあきれさせる場面がつづく。 <俺はな もの凄く弱いんだぜ 舐めるなよ 俺が結婚できるまで お前は俺を守れよな>(我妻善逸/3巻・ 第20話「我妻善逸」) ■隠された善逸の戦闘力 しかし、善逸はただの臆病者でも、単なる女好きでもなかった。鬼のひそむ屋敷に突入する際、恐怖からいったんは拒否するものの、鬼殺隊ではない一般の少年を救うために、勇気をふりしぼろうとする。
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