米国の商務省が最近、サムスン電子・SKハイニックスを含むグローバル半導体企業に、顧客情報など敏感な営業機密まで提出するよう要求し、波紋が広がっている。半導体供給不足問題を解決するためのものという名分を掲げているが、このような情報がライバル企業に流れ込んだ場合、企業の競争力に致命的な悪影響を及ぼしかねないだけに、行き過ぎた要求と言わざるを得ない。 今回の要求は今月23日（現地時間）、ホワイトハウスがグローバル半導体・自動車メーカーを対象に開いた半導体対策会議の後続措置だ。当時は、車両向け半導体の供給不足で自動車生産に支障を来たしているため、在庫・販売現況を把握するという程度に知られていた。しかしその後、商務省が官報を通じて公開した要求事項によると、ここ3年間の売上高、主要な集積回路の技術段階（ナノメートル）、製品ごとの3大顧客リストと売上の割合、在庫、歩留まりなどが含まれていることが分かった。最も多く販売した製品の生産所要期間や生産施設の拡充計画なども要求事項に含まれている。 このような内容は、半導体の需給現状を把握するレベルを超えている。米政府がグローバル半導体企業の技術力と顧客情報を一目で把握できるようになるということだ。特に、顧客情報は顧客企業とセキュリティ維持契約が締結されているのに、このような内容まで要求したのは納得できない。顧客企業はどの半導体メーカーに生産を任せたかによって製品の性能が露出する可能性があるため、極度のセキュリティを要求する。米商務省もこれを意識したためか、機密情報は外部に漏らさないと約束したが、これを額面どおり信じる企業はどこもないだろう。 今回の要求は、市場経済国家が守らなければならない線を越えたものだ。「バイデン版一方主義」という批判を受けて当然だ。バイデン政権は中国の「技術崛起」を牽制するためにグローバル半導体のサプライチェーンを再編し、さらには米国内で半導体の一貫生産体系を構築するため、製造施設を拡充する案を推進している。韓国・台湾など東アジア諸国に対する半導体生産依存度を大幅に減らし、自国の半導体産業を保護・育成しようという意図だ。米国は市場経済と自由貿易の主導国らしく、外国企業の自主性を害する過度な要求を撤回すべきだ。韓国政府も主要産業の保護のために、米国に言うべきことは言うよう望む。
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