- サウジアラビア以外に地域のリーダーを担える国はいないとイスマイル・オマル・ゲレ大統領はアラブニュース・アン・フランセに話す。
- 今年が満了となるフランスとの軍事協力条約を更新する考えを同大統領が明らかに
- 我が国はアル・シャバブから身を守る準備ができていると大統領は強調
ファイサル・J・アッバス | 編集長
ジブチ: ジブチ大統領は「非常に敏感」な紅海とアデン湾一帯の輸送の安全を保護・確保し、安全を脅かす「介入」を防ごうとするサウジアラビアの努力を称賛している。
イスマイル・オマル・ゲレ大統領はアラブニュース・アン・フランセとの独占インタビューの中で、次回の紅海・アデン湾沿岸アラブ・アフリカ諸国評議会をサウジアラビアで開催する取り組みは同国がイニシアチブを発揮した結果であり、こうした努力をジブチは強く歓迎していると述べた。
「これはサウジアラビアの本気度、そしてこの分野で果たす役割を示すものです。国際的にもこの地域、そして世界の平和に向けた偉大な代弁者となるでしょう」と述べた。
8カ国で構成されるこの協議会はもともとCOVID-19のパンデミック発生前の2020年1月にリヤドで発表されたものだ。評議会の加盟国は サウジアラビア、ヨルダン、エジプト、スーダン、ジブチ、エリトリア、ソマリア、イエメンだ。
このニュースを発表したサウジアラビアの外相ファイサル・ビン・ファーハン王子は、サウジアラビアは 「このような課題やあらゆる側面で我々を取り巻くリスクに取り組む上で、この評議会の加盟国と調整・協力していくこと強く望んでいます 」と述べている。
紅海とアデン湾はヨーロッパとアジア・中東を結ぶ世界で最も交通量の多い航路の一つだ。
また、多方面の話題に及んだインタビューの中でゲレ大統領はイエメンにおけるフーシ派の行動がもたらした壊滅的な結果、国連の支援する正当な政府が転覆し現在7年目に突入した内戦にも言及した。
「ジブチも犠牲者です。なぜなら我が国は非常に多くのイエメン難民を受け入れてきており、もしサルマン国王を筆頭とするサウジ政府の貢献、支援、連携がなかったら、イエメンを完全に破壊して海洋の平和と安全に対するリスクをもたらしたフーシ派の行動によって、状況は本当に酷いものになっていただろうと思います」と大統領は述べた。
多くの外国の軍事基地があるジブチには、特に米国と中国の両軍隊もアフリカの角に駐留している。また、日本の自衛隊やスペイン軍も駐留しており、フランスの存在感は低下している。
ジブチがフランス政府との軍事条約を更新するかどうかは不透明で、これを関係悪化の兆しと見る向きもあるが、ゲレ大統領は否定している。
「ジブチとフランスの関係は19世紀にまでさかのぼります。締結した条約は今年で満了を迎えますが更新する予定です」と述べた。「我々は法律の専門家と一緒に作業している最中です。とはいえ、交渉で何かを狙っているようなことはありません。我が国には夫婦は決して友人でも敵でもないという言葉がありますが、私たちはまさにそういう関係なのです。。。」
ゲレ大統領はまた、現在進行中のロシアとウクライナの戦争が 「核という結末を迎える危険がある」ところまで来ていると警告し、「ロシアとウクライナのどちらも勝者にはならない」との考えを示した。
以下はフランス語とアラビア語で行われたインタビューの翻訳だ。
Q: 予定されている紅海・アデン湾地域のアラブ・アフリカ諸国による首脳会議の戦略的価値と達成目標をお聞かせください。
A: もちろんです。あまりにも長い間サミットを開催できていなかったためサウジがイニシアチブをとった結果、今回開催の運びとなりました。紅海に関する戦略は明確であり、イエメンで起きたことや諸外国の軍事介入を経て、そしてご存知のようにバブ・エル・マンデブ海峡は国際的な安全保障、そしてアラブ諸国やすべての国々の安全保障にとって非常に重要であり、それを守ることは各国の責任でもあります。
この構想はサウジアラビア王国が立ち上げました。私たちはこれを歓迎し、神のご意志により初回サミットがジェッダで開催されることになり各国の外相たちが準備を進めてきました。これはサウジアラビアの本気度、そしてこの分野で果たす役割を示すものです。国際的にもこの地域、そして世界の平和に向けた偉大な代弁者となるでしょう。
Q: 紅海・アデン湾地域やジブチにとって予定されているサミットでの希望や抱負は何ですか?
A: サミットの結果としてこの地域の諸国が負う国際的な責任を強化し、その責任を引き受けることになるでしょう。あなた方にとってのNATOが世界の輸送と航行の安全に対して責任を負っているのと同じことです。
Q: 加盟国の多く、特にアフリカ側は互いに関係が良くありません。安全保障上の調整はできるのでしょうか。また、評議会の目的を達成するために紛争は片付けられるのでしょうか。
A: この地域のすべての国と良好な関係を保っているのはサウジアラビアだけです。そして同国はその大きな影響力で唯一の存在として世論やイニシアチブを守り、ポートサイド、バブ・エル・マンデブ海峡、アデン湾にまたがる地域の平和を構築し、常にこの敏感な地域の平和を妨害する機会を窺っている悪者の介入を阻止する軍事力を提供する責任を負っています。
Q: しかし、海賊行為や世界のエネルギー輸送への影響を防ぐために加盟国間でどんな調整をするのでしょうか?例えば、紅海で統一された軍事部隊を発足したりするのでしょうか?
A: 検討が必要な課題ですので次回のサミットの場で議論・整理していきます。各国にそれぞれ責任を負わせるのです。国民や世界全体のために何を達成できるでしょうか?この地域を航行する世界の船舶はあらゆる形態のテロや海賊の危険性に晒されています。こうした現状から脱却することが必要です。だからこそ私たちは直面する可能性のあるあらゆる外的脅威に対して評議会による合議でどのように対処できるかを示し、あるいは検討する必要があります。
Q: イエメンに話を移しますが、7年間の内戦はこれまであなたにどんな影響を与え、現在の停戦は続くと思いますか?
A: ご存知のようにイエメンはジブチのすごく近くにある国です。ここから20キロの距離です。そしてイエメンはシリアやリビアで起きたことや、アラブの一体感を標的にしたある種の陰謀の犠牲者です。これには特定のアラブ諸国も被害を受けました。そしてイエメン国民は我々の地域外のとある国からもたらされた別の悪意ないしは陰謀に誘惑され、言うなればショックを受けてしまったのです。
ジブチも犠牲者です。なぜなら我が国は非常に多くのイエメン難民を受け入れてきており、もしサルマン国王を筆頭とするサウジ政府の貢献、支援、連携がなかったら、イエメンを完全に破壊して海洋の平和と安全に対するリスクをもたらしたフーシ派の行動によって、状況は本当に酷いものになっていただろうと思います。
しかし連合軍、実質的にはサウジアラビア軍ですが、その警戒によってフーシ派の狙いは阻まれ失敗しています。このルートを封鎖して不安を煽り、保証契約を機能不全にしようとする試み、、、もしサウジアラビアがいなかったら今のこの地域の平和は成立しなかったでしょう。
Q: ウクライナ戦争に関するあなたの立場は合法的な政府を支持し他国の主権を攻撃することに反対するという同じ立場からきているのでしょうか?その戦争でどんな影響を受けましたか?
A: ご存知の通りウクライナはすごく遠くにあります。ウクライナは我が国からすごく離れているのです。私たちは当初から民間人を襲っている激しい砲撃は解決策ではないし、解決策にもなり得ないとの考えを表明してきました。今起きていることに必要なのは対話と協議であり、それ以外に選択肢はありません。
破壊行為が続きこの地域に核という結末を迎える危険があるところまで事態が進んでしまっています。ロシアとウクライナのどちらも勝者にはなれず、たとえウクライナ戦争が遠く離れたところで起きているとしても、その結末は我々の地域にも影響を及ぼす可能性があります。しかし今までのところ私たちはそのような反動の影響は受けていません。
Q: ジブチは対立する世界の大国の軍事基地を受け入れていますが、こうした関係や対立する各国の利害にどのように対処しているのでしょうか。また、外国の軍隊の駐留を規制する仕組みはどのようになっているのでしょうか?
A: 我が国に軍備を配備し、軍事演習を行っている諸国から今まで一度も苦情を受けたことはありません。何事もその背後にある理由に注意を向けることが重要だと思います。米軍の駐留は2002年にアデン港で発生したアルカイダによる米駆逐艦(USSコール)襲撃事件を受けて始まっており、テロとの戦いが駐留の主要な理由です。1点目については国際テロとの戦いに対する我が国の貢献です。これがジブチに米国が駐留する動機となりました。
その後、日本も来たいと言い出し、ソマリア沖やアデン湾の一帯における自国の船舶、特に商船への危険度を測定しています。また、沿岸を監視するために航空機を配備してほしいとの要請もありました。とはいえ、我が国の経済力では全ての責任を担うことができないのですが。
私たちは国際航路と国際平和の確保を可能にするための場所を米国と日本に提供することで、私たちの責任を果たしてきました。そして、中国も初めてジブチに基地を置き軍事的なプレゼンスを確立しました。これらの国々は大国です。しかしジブチ駐留に関して、これらの国々自身は一切問題を抱えておらず、だからこそすべてがうまくいっています。
Q: しかし世界の地政学が変化して影響はでていませんか?例えば、台湾をめぐる米中の対立を恐れていますか?もし、どちらに付くか選べと迫られたらどうしますか?
A: 私たちはそんなことは考えたこともありません。無縁ではありませんが、米中は台湾、南シナ海で戦っているのです。戦場はここではありません。戦場はここではないし、近くというわけでもありません。だから恐れてはいません、というのは私個人の意見になりますが。ジブチで中国と米国が対立する恐れはない、私はそう考えています。それは神のみぞが知ることであって、私たちが決めることではないのです。
Q: ジブチでのフランス軍の存在感が低下しているようですが、フランスとの軍事協力条約が更新されないかもしれないとの噂もあります。今後のフランスとの関係はどうお考えですか?
A: ジブチとフランスの関係は19世紀にまでさかのぼります。締結した条約は今年で満了を迎えます。私たちは条約を更新する予定で、法律の専門家や全ての関係者と一緒に作業している最中です。
しかし交渉で何かを狙っているようなことはありません。我が国には夫婦は決して友人でも敵でもないという言葉がありますが、私たちはまさにそういう関係なのです。。。これはお互いのことに腹を立てることもあるが、お互いの関係性を壊すつもりはないということを示す比喩表現です。フランスと問題を起こすつもりはありません。ある意味、家族のようなものなのです。時には喧嘩をすることもあるかもしれません。でもそれは深刻な問題ではないのです。
Q: しかし、そのフランス軍や米軍の存在こそがテロ集団アル・シャバブが貴国を直接脅かすようになった原因であり、そのことに懸念は感じませんか?どんな自衛策をとっていますか?
A: 私たちは2014年にテロ攻撃の被害に遭いました。命を落とした人もいれば、怪我をした人もいます(外国人3名が死亡した2014年のレストランへの自爆テロを指す)。私たちの軍事力の目的は唯一つ、常に自衛であり、自分たちを守るために存在するのです。何の問題もありません。テロ集団がたとえ何を言ったとしても、私たちには準備ができています。
Q: あなたは常に過激な意見には反対の立場で、おそらく現在のサウジの改革と共通した考え方だと思いますが、ジブチではサウジアラビアの変化をどのように受け止めていますか?
A: 我々は長い間このイニシアチブを待望していました。そして今、皇太子と二聖モスクのカストディアンのイニシアチブで私たちは正しい方向に向かっています。そして、私たちの長きにわたる真の信仰の中道主義と穏健主義、私たちはこの下にジブチで穏やかに生きてきました。
しかし、タクフィール主義者はムスリムの半数を異教徒として追放しようとしています。それには容赦や一切の寛容さもなく、そしてムスリムの女性への敬意もありません。
こうしたことによってムスリムの間に憎悪が生まれてしまいました。私たちはサウジの同胞たちが指導者も国民も等しく中庸主義に向かうのを歓迎してきました。中庸こそがウンマ、アラブ人、ムスリム、そして世界に散らばるイスラムの同胞にとって最善の利益となるのです。
Q: 宗教的な側面は別として、ビジョン2030はどんな影響がありますか?また、サウジとジブチの関係はどのように発展していくとお考えですか?
A: 過去にさかのぼると我々の独立以来、今日に至るまでサウジアラビアは常に我々の発展を支援・援助してくれており、安全保障からサウジ基金まで、様々な分野で常にサウジと協議・調整しています。つまり私たちは現状に非常に満足していますし、この地域におけるサウジアラビアの主導的な役割に代わる者がない間は、この道を歩み続けたいと思っています。
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